最近よく耳にする「人的資本経営」。
経済産業省が公表した「人材版伊藤レポート」をきっかけに、「人はコストではなく資本」という考え方が広まりました。
企業が
・人材育成への投資
・エンゲージメント向上
・女性管理職比率
などを開示する流れは、社会としてとても前向きな変化だと感じます。
一方で、子育て期の女性と向き合う中で、私は別の声もたくさん聞いてきました。
数字の裏側にある、リアルな声
「2人目が産まれてから、物理的に時間が足りないんです」
「頑張ろうとするほど、家族との関係が悪化してしまって…」
こうした声は、決して少なくありません。
制度は整っていても、現実の生活との間にギャップを感じている女性は多くいらっしゃいます。
人的資本経営は本来、人を大切にするという思想のはずです。でも、数字や目標だけが先に進んでしまうと、当事者の心が追いつかなくなることがあります。
納得して働ける人は、企業にとっても大きな力になる
3,000名以上の就職支援を通して感じてきたのは、
人は「整理ができたとき」「それが言語化できた時」に納得して行動できるということです。
・今はキャリアを広げたいのか
・まずは家庭を整えたいのか
・どんな働き方なら無理がないのか
これが言語化できている人は、仕事への納得感が高く、結果的にパフォーマンスも安定します。
自分の選択に納得している人は、企業にとっても持続的な戦力になります。
離職率の低下やエンゲージメント向上は、制度だけでなく「対話」から生まれる部分も大きいと感じています。
子育て期だからこそ、整理が必要
子どもの体調不良、限られた時間、パートナーとの役割調整。
理想だけでは回らない現実があります。
仕事に対する考えや価値観、そして今の暮らしを整理すること。
そして中長期的視点を持つこと。
それが、女性にとっても企業にとってもプラスになると実感しています。
人的資本経営の本質を考える
企業が人を資本と考えるなら、働く一人ひとりが自分のキャリアを言葉にできる環境が必要です。
制度と現実の間にいる女性が、「私はどうしたいのか」を安心して話せる場所。
その対話があるからこそ、人的資本経営は本当の意味で機能します。
焦らなくて大丈夫です。
まずは、今の気持ちを整理することから。
その積み重ねが、企業にも、家庭にも、そして自分自身にも、やさしい循環を生み出していきます。
人を資本と呼ぶ社会だからこそ、その“人”である自分自身を、置き去りにしないでいたいと私は思っています。
